ハッピ着て「我が村に住みませんか」のPRに意味があるのか(補足)
全国各地で「移住フェア」といった類のものが開催されていて、多くの来場者を集めている現状があります。各ブースには魅力を詰め込んだ力作のパネル展示が並び、ハッピを着て懸命にPRに努めるスタッフの姿が見られます。
ハッピ着て移住PRに全く意味がないとは言いません。それなりに効果があるとは思います。
(1)毎年変化する田舎暮らし志向の傾向把握
(2)移住について情報がゼロの人に向けた情報提供
(3)都市部在住で、その地域に行ったことがある、仕事でその地域に何らかのつながりがある人の立ち寄り機能
そして、こうしたPRをやらざるを得ない事情を考えると同情する点もあります。
(4)都市圏でのブース出展はメディア受けする
議会で説明する責任が生じる、やっている感をアピールするにはちょうどいい
視察で議員さんも同行させたりすると、彼らも喜ぶ
(5)都市圏への出張は若手職員にとっては研修の意味合いも持つ
(6)中堅以上の職員も、何だかんだ中央省庁詣でがあるので旅費の付きやすい移住フェアは貴重な機会にもなる
そんなところでしょうか。
でも、積極的な意味は見いだせないかな・・
これらを見ても、積極的な意義は見えてこないかなと思います・・。
ある程度名前が知られている、都市部からのアクセスが比較的良い、中規模以上の自治体であれば効果もあるのかなと思いますが、名前も知られていない・小規模の自治体がやる意味はないのかなと思います。
その理由として、「仕事」「家」という田舎暮らしの二大問題が挙げられます。
まず仕事について。基本的に仕事はない、もしくはあっても職種が限られているので「仕事ないですか」と来られても困るんですね。一応ハローワークはあるし、移住相談窓口も職業相談には乗ってはくれます。ただ、田舎の側で望んでいるのは仕事なんか自分で作るから大丈夫ですという人。または、既存の仕事+アルファで週末や平日夜に色んなことができて価値を発揮できる人なんですね。
そして、家の問題もあります。空き家は山ほどあるけれど、みんなとにかく貸したがらない。人柄を見て大丈夫そうだったら貸してもいいかな、というのが本音なんですね。ご近所さんとうまくやっていける信頼があって、大家さんと関係性を構築できるような人間性がないと借りられない。
こうしたことをこなせる人を田舎では通称「いい人」と呼びます。田舎に暮らしていると直接的な表現が好まれなかったり、上記のような的確な言語化をしている暇がなかったりで、こういうことがよく起きます。暗黙知の表現が多いとも言えますかね。(そして都会から来た人はそうした文脈が読み取れずによくつまづく)。そんなわけでみんな「いい人に来てほしい」と言うんですが、それは上記のような人を指すわけなんです。じゃぁいい人って何ですかとなるんですが、詳細をあまり言いたがりません。
ただの田舎への憧れで、都会に疲れたから田舎暮らしでもするかという動機ではとてもやっていけないわけなんですね。むしろ都会でも相当仕事できるよくらいの人でないと実際は厳しいのかなと思います。
(そして田舎は田舎で自分たちの思う「いい人」とはどういう人を指すのかもっとしっかり表現すべきだし、よとしっかりいうべきなんですがね。移住先進地ほどそういうのはちゃんとできている傾向にあると思います)